【イラストレーターは絵の描けるデザイナー!】『みんなのイラスト教室』中村佑介

【イラストレーターは絵の描けるデザイナー!】『みんなのイラスト教室』中村佑介

アジカンのCDジャケットや小説『謎解きはディナーのあとで』の表紙で有名なイラストレーター、中村佑介の『みんなのイラスト教室』を読んだのでご紹介します。

『イラストレーターは絵の描けるデザイナー』

いきなりちょっと脱線した話になりますが。
自分はWebデザイナーをやっていて、今年に入ってからイラストレーターになろうと思い立ちました。

そこで、イラストレーターになる方法を色々検索。
その中でふと感じたのが『イラストってほとんどデザインでは?』ということ。

例えば、デザインの勉強で必ず言われるのが次の言葉。
『デザインはアートじゃない』

『デザインは自己表現ではなく、使う/見る誰かのためのもの』という意味です。

これと同じ意味合いで『イラストはアートじゃない』というフレーズを何度か目にしました。

最初はイラストはデザインより『作り手の顔/作家性』が見えやすいので(つまり、アートよりなので)、ちょっと意外な発見でした。

でも、イラストについて知るごとに、『制作のスタンス・ポイントはデザインと同じ』と感じるように。

そんな中知ったのが、この本、
ではなく、schooというWeb動画サービスでの中村佑介の講座。

『身近なものから学ぶイラスト講座』

そこで、中村さんがハッキリ言われてました。
イラストレーターは絵の描けるデザイナー

それを聞いて『やっぱりそうなんだ』と納得。
(記事タイトルで誤解を招くかもしれないので補足すると、本の中で書かれてる言葉ではないです)

授業を聞いてても、デザインに通じる部分が多く、すでにデザインで学んだことを絵に置き換えて学んでるという感じでした。

シンメトリーとか色相環とかデザインで使う用語もよく出てきます。

有料のサービスなのであまり書きませんが、『イラストのクオリティ』を決める要素について次の3つを挙げてます。

  • デッサン力(絵の上手さ)
  • 構図

デッサン力は別として、『色』と『構図』はデザインに必須の要素。
正にデザイナーはあとは絵の上手ささえ身につけたら、イラストレーターになれるということです。

他にも『コンセプトを伝えること』『役に立つこと』『個性は要らない』なども共通してると思いました。

(イラストは個性が前面に出る場合も多いので、一言で『個性は要らない』では片付けられない気も。そこについてどう捉えているのか気になります。)

動画講座は本当に面白いし勉強になりました。

中村佑介さんは初めてみたんですが、説明の巧みさもさることながら、バイタリティー・熱量が凄い。
2時間半全く退屈せず見入ってしまい、すでに2回通して見てます。

そして動画の最後でこの本が紹介されていたので早速購入した次第です。

『みんなのイラスト教室』

内容的には動画講座と同じようなコンセプトです。
具体的なデッサンや絵の描き方ではなく、実際の生徒の絵を題材に改善点を伝えつつ、イラストのポイントについて解説しています。

動画授業では生徒の作品が4点だったのに対し、本では10点程取り上げていてより充実した内容になってます。

(どちらもビックリマンシールの本物と偽物のイラストを例に『イラストの品質』について説明。
その点に関しては動画の方が力が入っていて、説明も鮮やかで面白かったです。)

本で取り上げられている生徒の一番最初の作品を少し紹介。

↑小さいですが、右側のイラストの方を添削してます。

最初から赤線が引いてある見出しは、全部デザイナーなら意識していることですね。

  • お金を払う価値があるか
  • 食べ物に使いやすい色・使いづらい色
  • 伝えたいことをハッキリさせる

何度も『これはデザインと同じだなー』と頷きつつ、1日かからず読み終えました。

最後に中村さんが改善したイラストも掲載されてます。

Tシャツの文字を読まないとふくれっ面の理由がわかりづらかったのが、すぐに伝わるイラストになってます。

さいごに

ここ1年イラストについて考える中で、一番印象的だったのが『イラストはデザインと似てる』ということ。

最初は『絵を仕事にする』ことを遠いものとして感じてたのが、『今やってることとそんなに変わらないのでは』と思えたのは大きな心境の変化でした。

その中で一番ハッキリそう感じたのは中村さんの授業だし、『イラストレーターは絵の描けるデザイナー』と断言されてたのも中村さんでした。

なので、そういった視点が中心の感想になってます。

もちろん、イラスト特有のポイントも沢山含まれてます。

基本的には10代がメインターゲットではあると思いますが、『みんなの』というタイトル通り、イラストを描きたい人全般参考になる内容です。
(最後の進路相談とかは社会人は関係ないけど)

値段も本人いわく印税10%のところ3%にして、1,000円未満に抑えたとのこと。
Kindle版だとさらに安く690円。

イラストを描きたい人、特に『趣味ではなく仕事にしたい人』は必読の一冊です。

動画講座の方もオススメ。
『身近なものから学ぶイラスト講座』

この講座だけでも月額980円分払う価値あると思います。